将棋の指し方を教えてくれる将棋ソフトは存在しない。

将棋ソフトが急速に強くなったことにより、プロ棋士ですら将棋の研究にソフトを使う時代が来ました。猫も杓子も「将棋ソフトがあれば初段まで行ける」みたいなことを言う空気まであります。

しかし、私は声を大にして言いたいことがあります。特に級位者の方に向けて。

将棋を教えてくれる将棋ソフトはありません!

これが現実です。将棋ソフトは教えてくれないんですね。将棋を。

いきなり言われても「そんなバカな」と思う人が多いでしょう。

というわけで、今回はそんな感じのお話を書いていきます。

スポンサーリンク

将棋ソフトで勉強することは前世紀の職人の世界と同じ。

プロですら将棋の勉強を将棋ソフトでしているのに、ソフトは将棋を教えてくれないとはどういうことかという話からしていきましょう。

実際、わたしも将棋ソフトを使った勉強法は激推ししてます。過去にこんな記事も書いていますしね。

初心者向けの将棋アプリ「ぴよ将棋」なら遊びながら上達できる!

この記事の方を読んだ方ならわかると思いますが、将棋ソフトが教えてくれるのは「この局面で指すべき手」だけなんですね。

  • 現状どちらが有利で、なぜ有利なのか
  • この局面ではどういう方針でいけばよいのか
  • なぜその手を指したのか

などなど数え上げたらキリがありませんが、こういった要素を全て考慮した上で指すのが将棋です。ところが将棋ソフトは「次の指し手」と「その後の数手~数十手の読み」しか教えてくれません。あと形勢評価値。

ということは「なぜその手なのか」までの全てを自分で読み解かないといけないわけです。プロ棋士や高段者が研究で利用しているのは、自分で読み解く力があると自負しているから。将棋についての考え方も彼らはもともと相当深く理解していますし。

極端に言ってしまえば「将棋ソフトの手を見て考え方を盗む」という姿勢がなければ将棋は教わることができません。

スポンサーリンク

将棋ソフトで勉強することによる落とし穴

さて、指し手しか教えてくれない将棋ソフトでの勉強を漫然と続け、勉強したつもりになっているとどうなるでしょうか?

答えは簡単。自分の知っている局面でしか力を発揮できなくなります。

ソフトが教えてくれたのは「その局面での答え」だけですし、貴方はそれを暗記しただけなのですから。

では将棋ソフトで勉強するのは無駄なのでしょうか?

そんなわけはありません。わたしもぴよ将棋での勉強を激推ししていますからね。

しっかりと意味がある勉強になるようにすれば良いのです。

どうすれば将棋ソフトで勉強できるのか

考えられるのは

  • ありとあらゆる局面を先に試して全ての最善手を暗記する
  • 将棋ソフトの指し手を読み解く力を手に入れる

の二択でしょうか。

さて「ありとあらゆる局面を先に試して全ての最善手を暗記する」が可能な人間は果たして存在するのでしょうか?仮に存在したとして、あなたはそれができる自信ありますか?

もしあるのならこのサイトは閉じて結構です。私のアドバイスは不要ですので。

というわけでほとんどの方が「指し手を読む力を手に入れる」を選ぶことになったと思います。

指し手を読み解く力の手に入れ方

指し手を読み解く力をつけるために、一番てっとり早いのが「強い人に解説してもらうこと」です。

「だったら最初からその人に教われば良いのでは?」と思うかもしれませんが、一から将棋を指して棋譜を残してどこがポイントだったのか振り返るよりは「ここがソフトに指摘されたポイントで、この手を示されたのですがなぜですか?」とピンポイントに聞いて教えてもらうほうが相手の労力やかかる時間も少ないはず。

問題文と自分の答えを示して途中式と正しい解答を教えてもらっているだけなので、単純にゼロから考えるよりは早いわけですね。

もうひとつは「自分が読み解く力をつけること」

指し手を読み解く力をつけるには?

これはもう自分が勉強するしか無いです。大別すると3つ。

強い人に考え方を教えてもらう

可能であればこれが一番早いですね。イベントの指導対局も良いですが、みっちり質問をし放題な将棋教室がベスト。わからなかったことを一つも残さないくらいの勢いでいければ最高です。なぜそうなるのかを常に考えていくことが大事です。

棋書で学ぶ

棋書といえば入門書を除くと詰将棋、次の一手、定跡本がイメージされがちですが、実はそれなりにある「大局観」「形勢判断」の本。これらが局面を読み解く力をつけてくれます。

自分が指したい手ではなく、次に指すべき手を読むためには「いまどういう状況なのか」がわからないといけないので。

高度なものだと「イメージと読みの将棋観」あたり。将棋連盟が出している将棋世界に連載の有名シリーズ。誰でも知ってる有名プロ棋士たちが課題局面について読み筋や考え方をそれぞれ独自に披露してくれます。棋士ごとに見解が違ったり全員一致していたりするので読み物として楽しめたり。

こちらはあとでおすすめの棋書をまとめた記事を別に書く予定ですのでこれくらいで。

将棋関連の放送を観る

【2023年追記】いまはニコニコ動画よりもAbemaTVが主流です。

近年いっきに増えた棋戦中継。

ぱっと思いつくだけでも「テレビのNHK杯」「ニコニコ動画のタイトル戦中継」「AbemaTVでの中継」「CS囲碁・将棋チャンネル」あたり。しかもいくつかは無料で見れます。

実はこれを見ているだけでも感覚を養えます。NHK杯は録画かつ早指しなので少し特殊ですが、他の放送、特にタイトル戦などは時間がありあまっていますので、棋士の手が止まっている間はガンガン解説してくれます。雑談もかなり混ざりますが。

ニコニコ動画でのタイトル戦中継はターゲット層を将棋初心者に向けているので、指し手の解説だけではなく「ここではどう考えていくか」「こういう手がぱっと見浮かぶけどこういう理由でダメですよ」というのを動かしながらやってくれます。

このような放送を観ながら解説を聞くだけでも局面を読む力はついていきますし、自分が指していない対局だからこそ「自分が普段やらない形」での形勢判断力が身につくので意外と効果的。

この辺のお話もあとで詳しく別記事で書こうかなと。おすすめの放送とか。

さいごに

というわけで、将棋ソフトは指し手しか教えてくれないから自分でいろいろ考えましょうねということでした。

将棋ソフトでの勉強を意味のあるものにするためには「示された指し手を読み解く方法が必要」です。誰かの力を借りても良いし、自分で力をつけても良いので。

おまけ:セットで読んでほしいお話【ソフトや定跡書の形勢判断を鵜呑みにするな!将棋初心者のハマる落とし穴。

コメント

タイトルとURLをコピーしました