藤井聡太ブームは内容に言及しなかったから将棋の普及に繋がった。

藤井聡太先生が大連勝したあの当時から今日まで、何度も何度も「せっかく藤井聡太先生がきっかけを作ってくれたのに将棋の面白さを伝えなかったのは悪手」という声を色々な方から何度も耳にしました。SNSや動画のコメント欄なので実際には目にしたんですけどね。

で、私は正直「好き放題言ってて楽しそうですね」と思っていたんですが、どうせあちらが好き放題言うなら私も好き放題言いましょう、と思いまして。

藤井ブームは将棋の内容を伝えないから普及に繋がった

ということを書いて行こうと思います。好き放題言って良いみたいですしね。あちらのように。

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将棋を見たことも聞いたこともない人が将棋を勉強しようと思うのか

将棋と言うゲームを見たことも聞いたこともなかったとして、それを勉強しようと思いますか?

まずどうやって存在を知るのでしょうか。将棋との奇跡のような出会いがある?もしあるとして、あなたはそれを人為的に作れますか?

将棋を好きになりそうな人間を片っ端から捕まえて普及をして回るんですか?

続きは檻の中か塀の中で語ってください。鉄格子の付いた病室でも良いですね。

まずは将棋というものを知らなきゃいけませんし、知ったとしても誰も知らないマイナーなゲームだったとしたら覚えようと思う人は少ないでしょう。中には居ますよ、私のような誰も知らないゲームでも学ぶ狂人が。ただし多いとは言えませんよね。

将棋というものが誰にも知られていなければ、将棋を勉強しようと思う人はほとんどいないわけです。ここまでが前提。

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誰も知らない将棋の中身を解説して、誰が見続けるのか

もし藤井聡太先生の指した将棋の意味をわずか数分、下手すれば数十秒のニュースやワイドショーの枠で解説したとして、将棋をまったく勉強してない人が聞きますか?聞き流しますよね。

あなたはニュースの最中に聞いたこともない少数部族の言語や専門用語のオンパレードで全く興味のないジャンルの話をされてそれを調べようとします?私のような狂人はやりますけど、世間一般的にそんなことをする人は極少数派ですよ。

そう考えるとメディアでやるべきことは「興味のない人に将棋の存在をアピールすること」が最優先でしょう。

人類は日常生活で何度も目にすると親近感を覚えるように出来ています。ドラマの本編や主題歌などがよく影響を受けるあの効果ですね。

とにかくメディアで何度も何度も藤井聡太先生や将棋を指しているシーンを流して見てもらい、将棋と棋士の存在を植え付けなきゃいけないんですね、最初に。

そうして将棋が身近なものに感じられるようになってきてから初めて将棋に興味を持つわけです。このステップを飛ばそうなんて虫が良すぎます。

将棋の存在を知った時点で「これは面白そうだ」と思って自分から調べる有望な狂人候補は、この時点でも自分から動き出しますしね。

将棋の存在を知らずに将棋を学ぶ人間は居ない

当たり前のことですが、これを本当の意味で理解してないのではないかと思っているのでわざわざ言います。

もしあのときに将棋の中身の解説をしていたら、見続けていたのは「将棋に興味がある人」だけのはずです。

「将棋に興味があるけどまだ指すには至っていない」というあまり広くない層をちょっと育てるだけ。わざわざあれだけのメディア露出を使ってそれだけの成果。

ですが、将棋界とメディアが実際にやったことは

「将棋に関心がなかった人に将棋とプロ棋士の存在を知ってもらう」

という将来的に将棋を指す可能性がある人を広げる行為。

一言で言えば「裾野を広げた」わけです。

他のプロゲームの世界でも常に言われていることですが、裾野を広げない界隈は必ず衰退しています。将棋に良く似た格闘ゲームジャンルあたりを調べてみるとよくわかりますけど。

将棋とプロ棋士の存在を知っている人間の中から将棋に興味を持つ人間が生まれてくるのであって、その逆はありえませんて。

メディアで優先するべきはどちらか

簡単な話です。

ただの将棋講師が、将棋というものの存在を知らない人に将棋の存在を伝えて興味を持ってもらうためにイベントをやったとして、何人呼べますか?そのうち何人に興味を持ってもらえますか?

普段は最初から将棋に興味があって将棋を覚えようと思っている人ばかり相手にしているでしょうから忘れてるかも知れませんが、基本的に将棋の面白さを理解する人間は多くありません。死ぬまで将棋をバカにしている人種も山程います。

メディアが「まず将棋を知ってもらうこと」を優先しなかったとして、一般人の将棋講師はそれ以上の成果を上げられますか?

一部のYoutubeで活躍してる方以外はまず無理でしょう。Youtubeで活躍してる人ですら、ファンの内訳は将棋を元々知っていた人が多いでしょうけど。

将棋を教えることがメインの人々には出来ないことをやったわけですよね、将棋界の人とメディア。

それで文句を言われているのがよくわかりません。

メディアではやるべきことをやった。ならあなたたちはどうなんですか?

「興味のない人に浅く広く伝えること」に対して特化しているメディアでは「多くの人に将棋の存在をアピールして裾野を広げる」というメディアでの露出に向いていることをやりました。それに対して、将棋を教える立場の方々はなぜ文句を言うのでしょうか。

裾野を広げてくれたということは、将棋に興味を持つ人が増えたわけですよね?

当然ながらあなたが将棋を教えるべき相手が増えたわけです。

で、あなたはそこからなにかしましたか?

「あのときメディアは将棋の内容(将棋の奥深さ)を伝えなかった」とSNSやニュースのコメント欄で吠えるのがあなたの役目ですか?

もしそう思ってるならそれで良いですが、私はこう思ってますよ。

将棋の内容を伝えるのはあなた達でしょ?と

メディアに露出できる時間は限られてますし、予算も限られてます。その中でメディアでやるべきことを最優先して裾野を広げてくれたことに感謝するならまだしも、内容と奥深さを伝えるところまでやれというのは本当に好き放題言っているなと思うわけです。

どうせなら「お前らが裾野を広げてくれたんだから後は俺たちに任せろ。確実に将棋沼に沈めてやる」くらい言ってもバチは当たらないんじゃありませんか?

それともあのときのメディアの代わりに「将棋を見たことも聞いたこともない」という人に将棋の魅力を伝えて回りますか?100年かけても無理でしょうけど。

おわりに

というわけで、好き放題言っている方々に向けて私も好き放題言ってみました。

まぁ言い分はevenですから一生交わることはないでしょうけど、たまにはこういうのもいいかなと思いまして。

「あのブームで将棋を知ったから将棋を学び始めた」という人はそこら中で見ますが、あのとき将棋の内容を放送しなかったから将棋をやらなかった(やめた)という人は私は見たことがないので、成功したと思っています。

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