いきなりですが「将棋ウォーズに棋神は不要だ!」と言っている人こそ、棋神の恩恵を受けています。
みなさん大好きで、ひょっとしたら今いちばんアクティブユーザーが多いのではないかと思われる将棋ウォーズ。 先日有名バーチャルYoutuberの電脳少女シロさんが将棋ウォーズの棋神戦のエキシビジョンとして加藤一二三先生と対局したのも記憶に新しいところ。
この将棋ウォーズでは、時間が切れたら即負けの「切れ負けルール」と「戦法の形や囲いが完成すると固有エフェクト(カードのようなグラフィック)が出る」というのが大きな特徴ですが、もうひとつある「棋神」というものの存在。これがいろいろと言われているわけですね。
ところが「将棋ウォーズに棋神は要らない!!!」と声高に叫んでいる人ほど、その「棋神」に助けられているのではないか?というのが今回のおはなし。
一部の高段の方は当てはまらないので、暇つぶしの読み物として読むかゴーホーム。
「棋神」とはなんぞや?というおさらいから
というわけでまずは画像から。
はい、将棋ウォーズでの対局中に右上のこの「棋神」のボタンをタップするとめっちゃ強い将棋ソフトが最善と判断した手を5回だけ代わりに指してくれます。中身はプロ棋士にも勝利したPonanzaというソフト。 将棋ウォーズを運営する会社に所属している山本一成氏の傑作です。(これを書いている当時)
この棋神の利用券を有料で購入するか、イベントや対局数消化での配布を受け取ると対局中に「棋神」を使用することが出来ます。というわけで、とうぜん相手も使ってくるわけですが。
「棋神」を使うことの是非
これはもう居飛車党と振り飛車党の血を血で洗う抗争並に答えが出ません。
言い分はどちらにもあります。言い分はイーブンともいいますしね。
例えば「自分が対局していてよく発生する難しい局面での対応を知りたいから使う」という真面目な意見から「あるのに使わないはもったいない」「勝てればなんでも良い」なんて意見まで。
「棋神は卑怯だからなくせ」という意見が飛べば「相手の金で最強レベルのソフトに相手して貰えるんだから喜べ!」という意見まで飛んでくる始末。
これはもう決着をつけるのは不可能でしょうから今回は置いておいて「棋神は要らない!」と叫んでいる人にフォーカスをあてていきます。
被害者であるはずの自分が恩恵を受けている?
はい、ここからは「棋神」にボコボコにされて憤りを感じ「棋神をなくせ!」と発言している皆さんのためのお話です。
ところでみなさんは将棋で負けたとき、自分を誤魔化すためではなく本気で「今のは完全に読み負けていた」と心から思えることって何回ありました?
私の知る限りでは、ごく一部の意識が高い人を除いて「時間が足りなかった」「○○をうっかりした」など「なんらかの原因」を自分の棋力以外に見つけようとしてる人がほとんどだと思っています。
結局のところ、将棋は運の要素が極端に少ないので負けた時は自分の実力不足を認めなきゃいけないわけです。
しかし、将棋で一番辛いところがその「実力不足を認める」というところ。
もしそれがまったく辛くないと言うのなら、絶望的に将棋に向いていません。駒をペチペチやって「今回は運良く勝った」みたいなことをしていて一生が終わります。
ただ、もしそこで「そのほとんどの辛さを引き受けてくれるもの」があったらどう思いますか?
最高でしょう?
それが将棋ウォーズにはあるんですよ。そうです、あなたが今憎んでいる「棋神」こそがそれ。
「棋神」が使われているかわからないことも実はメリット
あなたが将棋ウォーズでうっかりの大悪手以外で逆転負けをしたとき、まずは「棋神」を疑いませんか?
しかし将棋というゲーム、お互いの力量に差があれば相手は自分より深く読んでいることが多いわけです。
例えば、自分が今の局面から7手後を読み切って「この仕掛はこちらが良いはずだ」と思っていても、相手が9手先まで読んでいて、その局面では相手が良くなっている場合もあります。
そういうとき、本当は「最初から相手が良い」わけですが自分は逆転されたと認識してしまいがちなのが級位者。
はいここでまた考えてみましょう。このような逆転を受けたとき、本来なら実力で負けていたわけです。しかしこれが将棋ウォーズでの対局ならどうでしょうか?
「途中で棋神使われたなー」と思えば良い。
たったこれだけで、あなたは「相手に読み負けた」という現実をすべて「やっぱり棋神はクソだ!」という憎悪の感情に置き換えられます。すごい。棋神は万能薬!全てのストレスを自分で引き受けてくれる!!!
もちろん相手が使った証拠はありません。が、使わなかった証拠もないのです。
つまり、あなたが「相手は棋神を使ったはずだ」と思い込めば、それは使ったことになるのです。そして「棋神」によりあなたが負けたことになるわけです。少なくともあなたの中では。
特に前述した読みの深さで負けているケースなら、相手は自分の読み筋どおりに進んでくれているので、持ち時間の消費もほとんどなく淡々と進むわけです。
つまり、棋神ではないと否定する材料が減ります。そして、棋神だと思い込むわけですね。
「棋神」は級位者にとっての万能薬
というわけで、将棋ウォーズの「棋神」は将棋を楽しむことにおいては万能薬として活躍しています。このシステムと持ち時間が切れ負けというゲームらしさの要素が、将棋ウォーズが級位者に圧倒的に支持される理由ではないでしょうか?
「棋神」を憎むことで自分の不甲斐なさを隠してくれる神システムこそが「棋神」なのです。いや運営に必要なお金を稼ぐためとかもありますけどね、商業ですからそこは仕方ないでしょう。
将棋は趣味なのですから、まずは楽しむことと将棋を嫌いにならないことが大事。将棋ウォーズのこのシステムで楽しみながら上達していき、「将棋めっちゃ楽しい!一生やる!!!」ってところまでたどり着いたら、そのとき改めて「棋神」のせいにするのを止めて、真摯に将棋と向き合えば良いのです。
コメント
いやいやwww
読み負けたら棋神で負けたと思えばいいってwwww現実逃避にもほどがあるでしょwwwwwwww
人間との将棋を楽しみたいのにソフトと対局して楽しいかっていう話ww
自分で指さないなら全部棋神でいいじゃんwww