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将棋のタイトル戦中継に評価値を表示するならもっと本気でやって欲しい

定期的に話題になってSNS上で燃えたり燃えなかったりする将棋のタイトル戦中継の評価値問題、個人的にはあってもなくてもどちらでも良い派というスタンス。

ですが、いつも思うんですよね。どうせ出すならもっと本気でやって欲しいと。ただ形勢を示す値だけを出して終わるとか時代遅れも良いところなんじゃないかと。

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そもそも将棋ソフトの出す形勢値に意味ありますか?

評価値、便利ですよね。将棋のルールすら知らなくてもどっちがいま有利かわかります。何も読めてなくてもなんかわかってる気にしてくれますし、最高にKOOOOLなシステムです。

で、それ以外に何の意味があります?

「最善手の応酬だけで出来上がった最高の将棋が見たい」なんて言う方は本当に一部で、ほとんどの方は棋士という人間と人間の勝負が見たいだけなんですよね。

その一部の人ほど声が大きくてSNSで騒ぐんで面倒なんですけども。そんな方々には書き込む度にまず将棋ファンの棋力の分布図を頭の中にイメージしてから投稿ボタンを押して欲しいところです。

で、その人間同士の勝負を面白くする中で大事な要素は「人間だからこそ躊躇うし間違える」ってところだと思うんですよ。

将棋には「終盤にわざと疑問手になる玉の端寄りを指して相手を間違わせる」という米長玉みたいなテクがあったりしますし。(好手・最善手の場合は例え端玉になろうが米長玉ではありません。他の棋士が自戦記に「米長玉で勝った」と書けばすかさず「これは誰が見ても玉寄りが好手だから米長玉ではない」と名指しで指摘したのが米長先生ですからね)

実際、自動車が出てきてもマラソンは廃れていないし、ピッチングマシーンがあるのに野球にはいまだに投手が投げてスポーツとして成り立っていますよね、現代でも。

これ、人間だからこそ限界があるし駆け引きが生まれるから観る人が熱くなるわけで、記録を出すのが目的なら機械同士でやらせりゃ良いわけです。将棋もそのうち「間違った手の無い最高の将棋がみたいだけの人」は将棋ソフト同士の対局でもみてりゃよくなる時代が来ますって。

だからプロの将棋もこの先生きのこるには「人間同士がやるからこそ」の面白さを前面に出していかないといけないだろうし、将棋界の人間もみんな理解しているでしょう。素人の私が言わなくても。

理解していないのはSNSで喚いている人たちくらい。

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単に形勢判断の値だけを出すから叩かれるのではないか

結局はここなんですよね。先ほどの話で書きましたけど、人間同士が盤上でやり合うのに「ソフトが読んでいる形勢判断の評価値」って絶対的な指標に成り得ないんですよね。

いくら評価値が必勝の数字だったとしても、その読み筋があまりにも複雑すぎる上に一歩間違えば逆転負けという地獄の道だったときに読みきれず違う手を指したり、場合によっては諦めてしまうことすらありえますし。

人間同士の戦いを見る上で「評価値」にそれほどの価値はないんですよ。

だったらもっと他に数字を出したらどうなんだろうか

ランダム要素が絡むので例えとしては微妙ですが、世界的に有名なゲームのひとつ、ポーカーなんかは10年も前からえらいことになってます。

まずは参考に私が知り合いと遊んでいたときの画像をひとつ。

参考画像

中継ではなくプレイ中の話なのですが、現代のオンライン対戦は「相手の過去のデータを溜めておいて、どんな時にどんな行動を何回取ったか」を計算していて、リアルタイムに「この相手はどんなときにどんな行動を何%で取ったか」を表示しながら戦うのが主流です。(画面内の「7.7k」は7,700の意味なので、左上の人のデータは将棋で言う7,700局分の統計)

画像の赤枠の中がそれです。私は13項目しか出してませんが、多い人はこの倍以上の項目を見ながらプレイしています。1テーブル9人なのでそれを9人分。

これ、実際に大会の中継放送とかでは表示されないんですけど、もし表示しながら見れたら面白いと思いません?

「この人は中盤でガンガン攻めるんだな」とか「この人は慎重派だな」とか「基本的には攻めるけど反撃されたときはさっと手を引く見切りが良いタイプだな」とか全て数字でわかるんですよ。(本当の上級レベルになると個性を消す方に注力するのですがそれはこのゲームの性質上仕方がないので)

で、将棋でも可能な限りこれをやればいいと思うんですよ。

過去のデータを引っ張ってくるのは現代の技術ならそれほど難しいことではないし、解説の先生や他の中継スタッフだって居るのですから。いやもちろん手間は増えますけどね。

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表示項目を増やせばそこが話題になるのでは

例えば戦型。棋譜中継でも解説でも戦型についてはまず間違いなく触れられるので、そのまま過去のデータを引っ張ってきて「この戦型は先手が何%勝ってるか」を表示する。

ただそれを出すだけでは芸がないし面白みもないので「過去の全データから引っ張ってきた値」と「直近の数十局の値」「棋士ごとの戦型別データから引っ張ってきた値」を並べて表示してみたら面白いと思いませんか?

「過去の全データから引っ張ってきた勝率」と「直近のデータでの勝率」に乖離があれば、将棋に詳しくないファンは疑問に思うだろうし、そこで解説がすかさず「これは最近こんな手が出てきて(中略)それでこういうデータになってるんですね」という方向に持っていけば単に解説するよりも面白くなりそうな気がします。

ただ受動的に解説を聞かせるよりも、数字を与えておいてそれによって疑問を抱かせてから解消したほうがなんか良い感じになりますよね。

少なくとも私の中ではそうなってます。

他にも棋士ごとに特徴あるデータを引っ張ってきたら面白そうですし、なんなら「離席した回数」や「過去のおやつのカロリーの平均値」なんていうネタっぽい項目まで盛り込めば「将棋はわからない観る将」の方々も話題にしやすい気がします。

今までは面倒で出来なかったでしょうが、タブレットで採譜しているなら直近の指し手の消費時間を常時表示しておくとなにか面白いものが見えてくるかもしれませんし、実は何もなくても観る将の方々が何かを見出すかもしれません。いや多分勝手になにか見出しますよ、そういう人種ですもの。

住み分けが出来れば荒れることもないはず

どうせ評価値なんていう無粋なものを表示するのですから、他の統計データもついでにガンガン表示して「最近の将棋中継ってなんかIT全開ですごいなー」という印象を獲得する方に動いてはどうかと思うわけです。

「評価値を一切表示しない中継」と逆に「評価値+その他の膨大な統計データを表示する中継」の両方に振り切っていけば住み分けが出来るのではないだろうか?と思っている次第。

ネタ項目もある程度盛り込めばそれなりに話題になるような気もしますしね。

あ、住み分けたせいで視聴者が割れてしまって発生する問題については知りません。部外者のたわごとなので。

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