今日は、真実をお話します。これはあまり知られていませんが、桂馬は強い駒なんです。だからこそ、桂馬は強いわけです。
実際のところ、桂馬の強さがいまいち理解できないという初心者の方も少なくないのではないでしょうか?
というか、このブログに「桂馬の強さが知りたい」的な検索ワードでたどり着いている方がちらほら居るので、どこかにそれなりに居るはずです(力強く断言)。
というわけで今回は「桂馬の強さ」を将棋初心者に向けて紹介していこうと思います。先に答えだけ書いておくとこれ。
次項で桂馬の動き方をおさらいしたあと、各項目の詳細を解説していきます。
【前提知識のおさらい】桂馬の動き方
まずは桂馬の動き方をおさらいしておきましょう。これが分からないと何も始まりませんからね。
本来は将棋盤と駒を並べて矢印を描いた画像を作るべきなんでしょうが、以前使った画像がそれなりに使えそうなので使いまわします。将棋では手抜くことも大事ですからね。というわけで動き方は以下の画像のとおり。
このようにYの字のように動くわけですね。ただし、桂馬だけの特性としてあいだにある駒を跳び越せる。これが桂馬のチート能力。
そして敵陣(相手側から見て1段目~3段目)までいけば成ることができます。成った場合は金将と同じ動き。
動かし方のおさらいが出来たところで本題に入りましょう。
桂馬が強い理由!とりあえず5選
思いつきで構成書も作らずに書いているので、とりあえず思いついた順に紹介します。BtoB系メディア用の記事を書いて納品するときのような構成書を作っていたらそれだけで2時間は飛びますからね。こっちはお金も出ないのに。
というわけで今回紹介するのは以下の5つ。
- 駒を飛び越えられる
- 攻めるときに大駒と連携が取りやすい
- 取られても相手は受けに使いにくい
- 初期位置からの攻めが早い
- 王手に対して絶対に同玉ができない
順に解説していきましょう。
駒を飛び越えられる
桂馬の動かし方でも解説しましたが、駒を跳んで越えられることが桂馬の強さの1つ目。
相手の駒も自分の駒も無視できるので、戦いの争点になっているマス(焦点)へ援護をする際にかなり役立ちます。駒が密集していて新たに攻め駒を追加できない状況でも、駒を飛び越えられる桂馬なら簡単に援護に回れます。遠距離攻撃は正義です。
1つのマスに利いている駒の数で相手を上回ればとりあえずその地点を突破できるので、あいだの駒を無視して援軍として使える桂馬は優秀な駒というわけです。「将棋の基本は数の攻め」とも言いますからね。
攻めるときに大駒と連携が取りやすい
桂馬は動きがひねくれています。縦でも横でも無ければ斜めでもない。
そのため、飛車や角と連携するときに「飛車や角の利きを止めずに連携」という芸当が可能です。
飛車や角で相手の駒を狙うときに、桂馬でさらに追撃しましょう。その後は桂馬で相手の駒を取って、桂馬が相手に取られて、同飛成(同角成)と相手玉を寄せに行くわけですね。
また、直接王将を攻めに行くときにも使えます。特に角との連携が強力で、角道を塞がずに攻めを繋げることができるので以下のようなコンボも可能。桂馬を取りたくても取ると角の利きが通ってしまうので取れません。これがひねくれた動き方をする桂馬の連携力。
終盤は駒の損得よりも速度とも言われる通り可能なら速度を重視したいので、できるだけ飛車角の利きを止めずに攻め駒を足せる桂馬は援軍としてめちゃくちゃ強いわけですね。
取られても相手は受けに使いにくい
初心者の方は自分の桂馬を守ることに苦労した経験があるでしょう。というか守れずに取られた経験のほうが多いと言っても過言ではないかもしれません。(とてつもなく失礼な発言)
実際のところ桂馬には自衛能力がないので、守る力はかなり弱い駒です。3段目や4段目で受けている間はまだ受けにも使えますが、1段目・2段目に対しては本当に無力(なにせそこに動けないので)です。
ところがこの「受けに使うとめちゃくちゃ弱い」が桂馬の強さなんですよね。
はい将棋のルールを思い出しましょう。取った駒は使えます。つまり相手の守りの駒と攻めの駒を交換したときに「可能な限り守りに弱い駒を相手に押し付ける」ことができれば攻めで有利を取れるわけです。
そこが桂馬を攻めに使うと強い理由です。しかも敵陣に入って成桂となり金将と全く同じ動きをしているのに、相手に取られても相手は桂馬として使うしかありません。つまり相手の1段目・2段目の金や銀とこちらの桂馬or成桂を交換できれば相手の守りの駒が1枚無くなったのと同じこと。
こんな不利を相手に押し付けられるのに桂馬が弱いわけがありません。歩や香ですら1段目に打てば受けに使えるケースが多いのに、桂馬は2段目の攻めに対して本当に無力ですからね。
初期位置からの攻めが早い
桂馬は初期位置から2回跳ねるだけで敵陣(相手からみて三段目)を睨めます。これ、実は将棋というゲームで2番目に早いんですよ。
1位はもちろん角道を開けるだけで敵陣を睨める角。対して飛車は飛車先の歩を3回も4回も突かないといけません。香車も同じく。
また、桂馬で攻めるにしても最初に歩をどかす必要があるので3手かかると思いますが、普通の将棋ならどこかで角道を開けています。そのためその分を0.5手と考えれば2.5手で敵陣を睨める計算。このスピード感も桂馬の強さの1つ。
長いこと将棋を観ている人であれば、プロ棋士対AI将棋ソフトが始まったばかりのころの対局で「戦端が開かれているにもかかわらず自陣の桂馬を跳ねた」というあの局面を思い出すでしょう。中盤から終盤に移行しようかという状況であえての自陣の桂跳ね。ところがこの手が意外と早く、解説の棋士も指されてからそのことに気づいて解説していました。
この話を読んであの対局を思い出した旧くからの将棋ファンとは一杯やりながら語り合いたいところですが、この記事を読んでいるのは初心者の方がほとんどだと思うのでおそらく知らないでしょう。(一杯奢らなくて済んで助かります)
というわけで、攻め駒が足りないときに自陣からスピーディに援軍として駆けつけられることが桂馬の強さ。
王手に対して絶対に同玉ができない
実はこれをあまり紹介している棋書が無いのですが、桂馬で王手をかけたときって絶対に同玉ができないんですよね。そりゃ王将は1マスしか動けないし、桂馬は変な動きで遠距離攻撃をするのだから当然といえば当然ですが。
この特性が役立つのが、相手の王将が裸でこちらの攻めの拠点がないとき。この場合、金銀を100枚持っていても詰ますことが出来ません。試しにオセロ(リバーシ)のセットを持ち出して白石を銀、黒石を金に見立てて裸の王様を詰ませるか試してみてください。まぁやらなくても分かるんですけどね、何回王手しても同玉と王将に取られて終わりです。やるまでもありません。
ところが桂馬は絶対に同玉ができません。そのため、桂馬で王手をして相手の王将が避けたら桂馬の利いている所に駒を打って繋げることができます。(桂馬が利いている付近にタダ捨てをして同玉→桂馬の利いているところに金を打って詰み!のような攻め筋も生まれます)
また、王様が裸ではなくても「こちらの攻め駒と相手の守りの駒の全交換」ができる状況から交換し、最後の同玉に桂馬から王手をかけて一気に詰ます筋も実戦ではよく現れます。
というわけで、攻めの拠点がない状態から一気に相手玉を寄せるときに起点として使えるのが桂馬の強さ。
コメント